ラグビー日本vsロシアを振り返る!W杯300日前に見えた課題とは?


ラグビー日本vsロシアを振り返る!W杯300日前に見えた課題とは?
由美
監督!この前の日本対ロシア、見ましたか!?
熱田
当たり前だろう!
厳しい試合だったが、勝利したことは収穫だったな
由美
うー! 私、早くあの試合を誰かと語りたくって!
監督、ぜひ監督の見解を聞かせてください!
熱田
うむ、いいだろう。
練習開始までの時間で良ければ、話し相手になってやろう

2018年11月24日、日本代表(世界ランク11位)とロシア代表(世界ランク19位)の試合が行われました。
W杯開幕のちょうど300日前にあたる日で、ロシアは日本W杯初戦の対戦相手でもあります。

日本代表は格上相手が多かったとはいえ、秋のウィンドウズマンスで3連敗を喫しています。
格下ではあっても、とにかく良い形でも「勝利」をもぎとって勢いをつけたいところ。

しかし、結果は32-27の辛勝。
それも、後半途中までリードを許しての苦しい逆転勝ちでした。

この試合を通して見えたW杯に向けた課題を分析しました。

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ロシアのキック戦術に浮き足立った前半。ミスと反則で自ら窮地に

苦しい時間帯に1トライを返すリーチ主将・背番号6番

「W杯に向かって爪を研いでいたのは日本だけではない」
格下と見られたロシア代表のプレーは、そんな強い意志が感じられました。

前回までの3戦は、パスやランを主体とするオーソドックスなラグビーをする相手と戦ってきましたが、今回のロシアはフィジカルを活かし、キックを多用する戦術。
テンポの違いに戸惑ったのか、代表経験の少ない選手がいたことが原因か、日本はこれに上手く対応できず、浮き足立って自陣での反則を連発してしまいます。

3つのペナルティゴールで0-9とリードを許し、トライチャンスもミスでものに出来ない苦しい展開。
そんな中、焦って仕掛けようとしたところをパスカットを狙われ先制トライを奪われてしまいます。
その後、リーチマイケルが個人のパワーで何とか1トライを返すものの、FL西川がシンビンを奪われ数的不利に。

ここぞとばかりに押し込んで来るロシアに我慢ができず、反則を繰り返して、さらにペナルティゴールを2つ献上。
前半終わって10-22と、格下と思われたロシアに、まさかのの12点差を開けられる展開になります。

ロシアはフィジカルを活かし、ハイパントキックを多用する戦術を使う、という事前に想定していたはずの日本。
しかし、ロシアがやりたかったプレーをうまく決められてしまう形になります。

ハーフタイムの修正が活きた後半!苦しい試合を勝ち切る強さ見せた!

DFを振り切って走るツイ選手・背番号8

試合後のインタビューでリーチマイケル主将はハーフタイムの修正項目をこう語っています。

「〜自分たちがなぜいい展開をできなかったかというと、ペナルティと簡単なミス、そしてすぐに外に振りたいと思う気持ちが大きかったから。ペナルティはなくそう、そして細かいことを一つ一つしっかり丁寧にやる、あとは3、4フェーズではなく5、6フェーズほど重ねて、ハードワークしてから外にいって勝負をかけよう、という話をして改善することができた。〜」

このリーチ主将の言葉通り、後半の日本代表は後半4分のWTB福岡のトライを皮切りに、前半とは打って変わって良い形を作っていきます。
さらに、ツイヘンドリックのパワフルなトライを追加して24-22と逆転。

その後、ロシア代表にキックパスを使った技ありのトライで、24-27と再逆転されますが焦りません。
落ち着いてSO田村のペナルティゴールで同点に追いつくと、最後はFLリーチ主将が二人のディフェンスを引きずりながらのトライ。
32-27として、頼れる主将が試合を決めました。

試合全体を通して見ると、決して良い試合とは言い切れないものの、苦しい状況からでも勝ちに繋げることができたというのは、W杯に向けてひとつの収穫。
苦しい試合にならないことが理想ですが、やはり、先に対戦したニュージーランドやイングランドといった国に勝つには、苦しい状況でどれだけ我慢できるか、自らのラグビーの形を作れるかが勝負になるため、貴重な経験だったと言えるでしょう。

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ランクが全てではない!ロシア戦の課題と収穫とは

改めて日本が意識しなければならないのはランクが全てではないということ。
今回のロシアもそうですが、4年前のW杯では南アフリカという強大な敵を相手に、日本がそれを体現して見せたはずです。

ここからは、この試合で見えた課題と収穫を分析していきます。

ロシアは格下ではあっても決して弱くはない!相手のペースに飲まれない冷静さを!

格下と言われていましたが、実際のプレーを見ると、ロシアというチームが非常に良いチームであることがわかりました。
ロシア代表の良いところを上げてみましょう。

  • 大きく強いFW陣と正確なキックを蹴るBK陣
  • キックを使ったゲームプランがチーム全体に浸透している
  • DFの意思疎通もしっかりしている
  • 激しいブレイクダウン
  • 反則や危険なプレーが少ない

これだけの強みを持ったチームですから、自分たちのゲームプランにハマった時の強さは格別です。
前半はまさにロシアの術中にハマり、挽回しようと焦ってミスが出るという悪循環に陥ってしまいました。

どこかで冷静になって、何が問題なのか、どうすれば悪い流れを断ち切れるのかを、早い段階で確認する必要がありました。
相手の流れになっている時、自分たちの流れが作れていない時こそ、冷静になって立て直すことが出来なければ致命的なリードを与えてしまいます。

ゲームプランを修正できたことは収穫!個人の強さも見えた!

しかし、ニュージーランドやイングランドといったティア1国と比べれば弱みもあります。

  • FW陣の運動量とBK陣のスピードがない
  • キック以外の戦術に乏しい
  • ティア1国ほど個人の能力が高くない

ここを認識し、立て直すことが出来たのが後半戦です。

ミスと反則を減らした

前半にターンオーバーを10回、ペナルティを8回でしたが、後半はペナルティ1回、ターンオーバー4回に抑えました。粘り強いプレーで相手に攻撃権を与えず、ペナルティゴールなどの安易な得点源を与えないことで、ロシアのチャンスは激減しました。キックは陣地を取ることはできますが、同時に攻撃権を放棄するという行為でもあります。キック処理でミスをしなければ、ロシアは攻撃するチャンスが自然と減っていくというわけですね。

焦らずに自分たちの流れを作った

前半戦は早期にリードされてしまったこともあり、トライを狙おうとしてまだ敵DFが残っている状態でも外に回そうとしてしまっていました。しかし、後半に入り、フェーズをしっかり重ねることで運動量に勝る日本にとって有利な形を作っていくことができました。ロシアはキックの戦術がハマった時は強いですが、それに対応された時、再度流れを取り戻すようなゲームプランの幅は持っていませんでした。

自分たちの流れを作ることで個人の強さが活きた

前半唯一のリーチ選手のトライは、1対3の状況でトライを取るという、完全に個人プレーの賜物でした。しかし、自分たちの流れを作ることで、WTB福岡選手、NO8ツイ選手、FLリーチ選手といった個々の力が活きる「形」「流れ」を作ることができました。また、途中出場でゲームの流れを引き締めたSO田村選手のゲームメイクも見事でした。日本には十分に世界に通用するプレーヤーがいるので、彼らを活かす形を作っていけば自然とトライにつながっていくでしょう。

日本代表にとって、収穫だったのはゲーム中に課題を修正し勝ち切ったという事実です。
たとえハーフタイムを挟んだとしても、こうしたポイントを試合中に認識し、修正して結果に繋げるというのは、非常に難しいものがあります。これをしっかりとやりきり結果に繋げることが出来たというのは、W杯を戦う上で貴重な経験になったと言えるでしょう。

相手がどこであれ万全の準備を!

熱田
今回の日本vsロシア戦、俺の見解としてはこんなところだな。
由美
うーん、ハラハラしましたけど、貴重な経験は得られたっていうことですね。
熱田
そうだな。ただ、ジェイミー・ジョセフHCやリーチ主将も言っている通り、ロシアがキック主体の戦術で来ることは予想通りだった。にも関わらず、このような試合展開を許してしまったのは、精神面も含めての準備不足という他ないだろう。
由美
確かにそうですよね。前半から後半のようなプレーが出来ていれば危なげなく勝てていたかもしれませんね。
熱田
うむ。ほとんどの勝負は戦う前にどんな準備をしてきたかで既に決まっている。2015年のW杯で日本が南アフリカに勝てたのは徹底に徹底を重ねた準備のおかげだったが、世界ランクが上がったとしても自分たちの足元にも目を向け続けなければなるまい。
由美
古来、強者が破れる時の多くは驕りから敵を見誤った時ですもんね。ハンニバルに蹂躙されたローマしかり、桶狭間で奇襲を受けた今川義元しかり。
熱田
敵を知り己を知れば、とはよく言ったものだ。W杯まで1年を切ったこのタイミング。日本代表にもしっかりと己を見つめ直し、敵を分析しなおして欲しいものだな。日本代表よ、熱くなれ!!

キャラクター紹介

熱田 修造

熱田 修造(あつた しゅうぞう)

能西高校の監督。暑い、、、ではなく、熱いハートを持った体育教師。能西高校に赴任してきたのは2年前から。大学時代にU20日本代表に選ばれた、トップリーガーとしての経験があるなど、様々な噂があるものの真偽は謎。口癖は「熱くなれ!」。

吉田 由美

吉田 由美(よしだ ゆみ)

能西高校3年のマネージャー。3人兄弟の真ん中で、父・兄・弟の全員がラガーマンというラグビー漬けの家庭に育ったラグビー女子。小学生までプレーヤーだったこともあり、ルールにも詳しく、テーピングや応急処置等も可能なマネージャー兼トレーナーとしてチームを支える。

熱田・由美たちの能西高校ラグビー部のお話はこちらから