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フリーキックについて
フリーキックとは、フェアキャッチをした際、または特定の反則を取られた際に、相手チームが得られるキックのことで、英語の略称では『FK』と表記します。
反則としては、ペナルティキックとなる物よりも、比較的軽い罰となります。
フリーキックの反則が取られた場合、反則を犯した側はペナルティキックと同様に10m下がる必要があり、フリーキックを得たチームには下記の4つの権利を得ます。
- タッチラインへ蹴り出す権利(相手ボールラインアウトで再開)
- タップキックでリスタートする権利
- スクラムを選択する権利
- ラインアウトを選択する権利(ラインアウトでフリーキックを与えられた場合のみ)
ただし、得点を狙うことができない、タッチに蹴り出した際には相手ボールになる点で、ペナルティキックとは異なっています。
フリーキックが与えられる反則とは
フリーキックとなる特定の反則とは以下のようなものが挙げられます。
反則名 | 反則の内容 |
---|---|
アーリーエンゲージ | FWがスクラムを組む際、レフリーの合図よりも早くスクラムを組んだ |
オーバータイム | スクラムハーフが、スクラム内にボールを投入できたにも関わらずボール投入しなかった |
ノットストレート | スクラムハーフが、スクラム内のボールを投入する際真っすぐ投げ入れなかった |
ノット1メートル | ラインアウトの際、相手選手と1mの間隔を取らなかった |
フリーキックとなる反則自体が少なく、発生する頻度もそれほど高くないため、1試合を通して1度もフリーキックが発生しないことも珍しくありません。
もし、観戦中にフリーキックが見られたら、少しラッキーかもしれませんね。
フリーキックの再開方法とペナルティキックとの違い
フリーキックをする地点は反則が起こった地点、またはその地点からの自陣側への縦ラインの延長線上で行うことができます。
インゴール内やゴールラインから5メートル以内で起きた場合は、反則が起こった地点からの延長線上と5メートルラインの交点から再開されます。
また、上述したように、フリーキックはペナルティキックと違い、ゴールを狙うことはできません。
なおかつ、フリーキックの代わりにスクラム、または、ラインアウトを選択した場合であっても、下記の条件が満たされるまでは、ドロップゴールによって得点することもできません。
- プレーが中断する
- 相手にボールが渡る
- 相手にタックルされる
これは、フリーキックからすぐ後ろにキッカーを控えさせて、安全にドロップゴールを蹴るという行為を禁止しています。
もし、この禁止がなければ、相手は10m以上離れているわけですからキッカーは落ち着いてキックを狙うことができます。
これでは、フリーキックで得点の選択肢を消す意味がないですよね。
フリーキックからの状況別の選択について
フリーキックからはいくつかの再開方法を選択できることは上述しました。
それでは、どんなシチュエーションでそれぞれの再開方法が選択されるのかを見ていきましょう。
タッチキックを選択するケース
フリーキックからタッチキックを選択した場合、相手ボールのラインアウトからの試合再開になります。
自分からボールの所有権を手放すのは、少しもったいない気もしますよね。
とはいえ、ラグビーは陣取り合戦と呼ばれるゲーム。
キックは最も重要な陣地を回復することができるので、自陣でフリーキックを与えられた場合はタッチキックを選択するケースが多く見られます。
なお、キックしたボールがタッチラインの外に出なかった場合は、そのままプレーが継続されます。
タップキックでリスタートするケース
フリーキックを得た後、ボールを小さくキックすることで、その場からプレーをリスタートすることができます。
タッチキックを選択した場合と比べ、ボールの所有権を有したまま攻撃を仕掛けることができます。
フリーキックを取られたチームはその地点から10メートル下がらなければなりませんから、攻撃側は素早くリスタートすることで、ディフェンスラインが整っていない間に攻撃を仕掛けられ、大きく前に進める可能性が高くなります。
素早くリスタートすることで、相手のノット10メートルを誘ってさらにペナルティをもらえる可能性もありますし、攻撃のリズムを掴めば、そのままトライに繋がるかもしれないプレーなので見逃さないようにしましょう。
スクラムを選択するケース
フリーキックを得た後、スクラムを選択することもできます。
リスタート同様、ボールの所有権を有したまま攻撃が出来るので、主に敵陣ゴール前で選択するケースが多く見られます。
スクラムで優位に立てているのであれば、スクラムを選択してそのままゴールラインまでスクラムを押し切って、スクラムトライを狙うこともあります。
スクラムトライまではできなくとも、スクラムで確実にボールをキープできる自信がある場合はスクラムを選択する価値は十分にあると言えるでしょう。
ラインアウトを選択するケース(ラインアウトでフリーキックを与えられた場合のみ)
この場合、再度ラインアウトを行う権利を得ることができる、ということです。
ラインアウトからのFWのモールやBKのサインプレーなどに自信がある場合、ゴール前でラインアウトを再度行いたい場合に選択されることがあります。
フリーキックを取られたチームがすべきこと
フリーキックを取られたチームは、反則が起きた地点から10メートル、またはその地点から10メートル以内に味方ゴールラインがあれば、ゴールラインまで下がらなければなりません。
相手選手がフリーキックでリスタートを選択し、素早く攻撃を仕掛けてきた場合でも、すぐに反則が起きた地点から10m下がらなければプレーすることができず、下がりきる前にプレーするとノット10メートルを取られます。
2重に反則を取られないためにも、攻守の切り替えの判断が重要になります。
また、10mの距離があるので、滅多にないことですが、フリーキックの際、キッカーへの妨害となる行為は禁止ですが、キッカーが蹴ったボールへの、チャージ(キックを阻止する)は認められています。
チャージに成功した場合は、フリーキックを蹴った地点でスクラムを組み、チャージした側のボールから試合が再開されます。