【徹底分析】vsルーマニア快勝の裏側!日本の狙いと課題とは?


画像参照:SANSPO.COM
6月10日、熊本市のえがお健康スタジアムで行われたテストマッチ「リポビタンDチャレンジカップ」の緒戦、日本代表(世界ランキング11位)は19年のワールドカップでも対戦が予想されるルーマニア代表(世界ランキング16位)を相手に、33−21と快勝を飾った。 見所となったのは、日本の新たな戦術であるキックを用いたゲームプランが機能するかどうか、そして、世界最高峰のスクラムを組んでくるルーマニアの屈強なFW陣を相手にスクラムやモールといったFW戦がどこまで通用するかといったところだった。 結果としては、前者は成果が見られたが、後者については課題が残ったと言えるだろう。
たーじ
ルーマニア戦、日本がいい感じの勝ち方をしてくれたなぁ! FWはちょっと押され気味やったけど、おーつきから見たらどう?
おーつき
確かに、試合展開全体を見たら、それほど危なげなくも見えたんやけど、やっぱり元プロップからするとスクラム、モールで劣勢やったんが気になるかな。
たーじ
ほーん、スクラムのことはそこまでわからんけど、確かにスクラムが崩れた後、日本側がペナルティ取られることが多かったな。 モールからもトライ取られたシーンもあったし。
おーつき
そうなんや、やっぱり世界最高と言われるルーマニアのスクラムは伊達じゃなかったな。
たーじ
じゃあ、今回は日本の狙いがハマったところと今後の課題について見ていこか!
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【前半】作戦通り!素早い展開で相手を置き去りに!

日本代表はジョセフヘッドコーチの元、キックや早い展開などを用いて、自らアンストラクチャーな状況(攻防の陣形が整わない状況)を作り出して得点を狙うという、新戦術を取り入れている。 そのジョセフHCが試合前に語っていたポイントは、「ルーマニアは強くて大きなチーム。我々はいかに遅いテンポにならずに、素早くボールを動かせるかどうか」とし、大きくパワフルなルーマニアの選手たちをキックを使って後ろに走らせて疲れさせたいと語っていた。

相手の虚をつきWTB山田がトライ!

前半、試合開始の立ち上がりこそ、浮き足立って不用意なペナルティをおかし、PG2本で6点を献上してしまうが、そこから気持ちを切り替えると日本代表の狙い通りの展開となる。 前半11分、ルーマニアの選手に堀江が激しいタックルをすると、たまらずこぼれたボールがラインの外へ。 これを好機と見たSH田中がクイックスローインでプレーを再開。 相手に陣形を整えさせる暇を与えず、素早くワイドに展開。 アウトサイドセンターのラファエレがグラバーキックを前方のスペースに蹴り出すと、WTB山田が飛び出してこれをキャッチ、そのままトライラインまで独走を決める。 難しい位置からのコンバージョンゴールを24歳のSO小倉が決めて6−7と逆転。

連続攻撃からWTB福岡がトライ!

その後も、素早い展開大きなキックからのカウンターで優位に試合を進めると、早い展開についてこれなくなったルーマニア代表はたまらず反則を繰り返す。 日本代表はこれを活かして小倉がペナルティゴールを決めて着実に点差を引き離していく。 そして、前半36分、ポイントサイドで素早い連続攻撃を行って相手ディフェンスを引きつけると一気に大外で待ち構えていたWTB福岡まで展開、難しいパスをキャッチした福岡はディフェンスをかわして転がり込むようにトライを奪った。 小倉がこの日5本目となるキックを決めて、前半は23−9というスコアで折り返す。
おーつき
いやー、前半は綺麗に狙い通りのラグビーしてたな!
たーじ
特に前半11分の山田選手のトライ! 田中選手のクイックスローが良い判断すぎる! ルーマニアは攻守の切り替えが全然追いついてなかったわ!
おーつき
代表復帰のリーチ選手も激しいタックルで会場を沸かしてくれたし、特に相手の強みやったポイントサイドを攻めるFWへのタックルが強烈! 大型のルーマニアFWがボールを持った瞬間に、2人〜3人がかりで徹底的に潰しにかかってたな。
たーじ
ゲインできなくて辛くなったルーマニアがキックしてくると、キック合戦で相手の選手を走らせて、ディフェンスが甘くなったところをカウンターからビッグゲインにつなげていってた。 まさに事前にジョセフHCが語ってた通りの展開やったな。
おーつき
あと、振り返ってみると前半は日本代表のミスも少なくて、スクラムとか相手ボールのラインアウトっていう場面が少なかったっていうのも、早いテンポで展開できた理由やろな。

相手の土俵で戦ってしまった後半!課題の残るスクラムとモール!

リーチのトライ!しかし、ルーマニアが反撃開始!

後半開始直後、SO小倉が敵ディフェンスを引きつけると、小倉の横をすり抜けるような形でFLリーチが小倉からノールックパスを受けとる。 リーチの鋭いコース取りでルーマニアのディフェンスのギャップを切り裂き、リーチは30mを駆け抜けてトライ 後半も日本優勢の展開が続くかに思われたが、しかし、ここからルーマニアの反撃が始まる。 日本はスクラムのペナルティから蹴り出されて、ゴール前での相手ボールラインアウトとなる。 このラインアウトでルーマニアにモールを組まれると、巧みなモールワークからキャプテンのNo.8ミハイ・マコヴェイにトライを許してしまう
たーじ
このシーン、ちょっとごちゃごちゃしてわかりにくいんよな。 FW的には何が原因やったと思う?
おーつき
正直、これは日本代表のミスというよりもルーマニアのモールワークを褒めるところやと思う。
たーじ
というと?
おーつき
最初、モールの左側を日本代表が押してるやろ? これはオープンサイドへの展開をしにくくする相手モールごとラインの外に押し出してしまおうっていうプレー。 ここまではわかるよな。
たーじ
そやな、ゴール前のモールDFとしては定番のプレーやんな。
おーつき
そう、ただルーマニアはこの左側を押しあげる日本代表の力を逆利用してモールを180度回してんねん
たーじ
モールを回す??
おーつき
基本的にモールのボールキャリアって一番後ろにいるやろ? モールが180度回ると相手ディフェンスと入れ替わって、ボールキャリアが一番トライラインに近い位置に来る、と。
たーじ
あぁ、そういうことか!
おーつき
特にこのシーンでは日本代表も押し出せると判断して、ほとんどの選手がモールに入ってしまってる。 ハーフの田中選手だけがディフェンスに残ってたけど、あの状況ではどうしようもないな。
たーじ
なるほど、ルーマニアFWのモールテクニックが凄かったっていうことやな。
おーつき
言うのは簡単やけど、相手にそのままラインに押し出される危険もあるし、すぐにバックスに展開もできなくなるから、リスクもかなり大きい難しいプレーやで。 これは、ルーマニア代表、お見事って感じやなぁ

強力スクラムが止まらない!

このモールからのトライでルーマニアの選手は息を吹き返す。 総体重で約30kgの差があるFW陣でスクラムを押し込むと、日本は耐えられずにコラプシングの反則を繰り返してしまう。 対するルーマニア代表は落ち着きを取り戻し、スクラムで奪ったペナルティからラインアウト、モールというゆっくりとしたペースで、自分たちの強みを押し出すようにゲームを展開。 日本はルーマニアのモールを正面から止めることも難しく、止むを得ず引き倒そうとするもコラプシングを取られPR伊藤にイエローカードのシンビンが出るなど苦しい展開が続く。 そんな状況の中、後半25分、スクラムを押し込まれて日本ディフェンス陣の出足を止まったところに大型WTBフォノヴァイ・タンジマナが猛然と突進してトライを決められてしまう
おーつき
いやぁ・・・強いなぁスクラム。 完全に崩されてる。
たーじ
FW8人の総体重差で30kgくらい違うらしいけど、それってやっぱり結構違うもん?
おーつき
んー、俺自身はそこまで体重差を気にしたことはないけど、30kg違うとやっぱり圧力は相当変わるやろな。 特に代表っていうトップチーム同士でこれだけ差があるっていうのは、すごいわ。
たーじ
じゃあ、やっぱりパワーが凄かったんや。
おーつき
いや、試合後のインタビューで2番キャプテンの堀江選手がスクラムについて聞かれてこんなことを言ってるんや。

「本数は少なかったんですけど、向こうは駆け引きがうまかった。こちらがいい形で当たれた時に向こうが引いたり、こちらが引いたら崩れたり…。そこはもっと修正できたら」

たーじ
へー、スクラムってわざと引いたりっていうのもあるんや。
おーつき
ここで詳しくは言わんけど、スクラムは意外とパワー勝負だけじゃなくて駆け引きがめっちゃある。 堀江選手が言ってるような相手にいい形で当たられた時に自分から引くことで、相手のアーリープッシュを誘うっていうのもひとつ。 一度、これをやられると、自分で止まれるようにしておかないとあかんから、全力で相手にプレッシャーをかけられなくなって、すごくプッシュしづらくなんねん
たーじ
なるほどなぁ。 スクラムは全然わからん世界やけど、ルーマニアのスクラムはパワーもテクニックも凄かったっていうことなんやな。

ジャパンコールでピンチ脱出!

その後も苦しい展開が続いたが、えがお健康スタジアムの客席からジャパンコールが沸き起こる。 その声援に応えるように、小倉に変わったSO田村が相手ゴール前ギリギリへの好タッチキックを見せる。 日本代表はようやくピンチを脱出する。 その後は、シンビンの選手も戻り、落ち着きを取り戻した日本代表は、安定感のある試合運びでリードを守りきってゲームセット。 最終スコアは33−21となった。
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勝利が何よりの収穫!セットプレーは今後の課題!

まず勝てたことが重要、とジョセフヘッドコーチは試合後に語った。 特に前半では目指す形からのトライもあり、取り組んできたことの成果が見えたのは、選手・監督ともに大きな成果と言えるだろう。 スクラムやモールへの対応については課題も見えたが、W杯まであと2年の猶予があるこの時期に課題が明確になったことはむしろ歓迎すべきことだろう。 さらに、24歳で先発SOを任された小倉は、落ち着いたゲームメイクとともにリーチのトライを演出するパス、ゴールキック3本、ペナルティゴール4本と全てのキックを決めるなど合計すると23得点に絡む活躍、ただ一人の現役大学生ながら代表入りを果たした21歳の野口も先発メンバーとして堂々とプレーするなど、W杯に向けて若手の活躍も嬉しい。 そして、およそ1年8ヶ月ぶり、合流から5日目での代表戦出場となったリーチも、激しいタックルでチームを鼓舞し、攻撃ではトライも決めるなどキーマンとしての存在感を発揮した。 次は17日、24日に行われるアイルランド(世界ランキング4位)と連戦となる。 アイルランドは同時期にブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(イングランド、アイルランド、ウェールズ、スコットランドのオールスターチーム)でのNZ遠征があるため、主力となる選手は来日しない。 とはいえ、アイルランドは19年W杯の有力な優勝候補とも言われるチームだけに、アイルランドとの連戦では日本がトップチームにどれだけ肩を並べられる存在になったのか、一定の評価ができるだろう。 今回の試合で得られた収穫と課題を元に、どこまで修正できるかを期待したい。
たーじ
全体としてみると、日本が終始ゲームをコントロールして勝ったいい試合やったな!
おーつき
ただ、ルーマニアが最初のペナルティでPGを狙わずにラインアウトからのモールを選択してきていたら、と考えると、一歩噛み合わせが違っていれば全然別の結果もあり得た試合。 特にFW陣にとっては色々な課題が見えてるはずやから、そこは修正を期待したいな。
たーじ
そやな、代表みたいなトップチーム同士の試合はワンサイドゲームみたいに見えても、ワンプレーで試合の流れがガラッと変わってしまうことはよくあるからな。 次のアイルランド戦では、スクラムやモールへの対応に注目していきたいな。
おーつき
経験豊富なベテランPRのキアン・ヒーリー、身長210cmのLOデヴィン・トナーを始め、アイルランドのFWも大型揃い。 今回の修正を活かして、試合でもFW戦でも勝ってほしい!!
たーじ
そういえば、試合の後に選手達が「頑張れ!熊本」って書かれた横断幕を持って熊本地震の被災者にメッセージを送ったらしいで!
おーつき
ええな! 熊本地震ではかなりの被害があったそうで、復興にもかなりの時間がかかるそうやから、大きな相手にも敢然と立ち向かう日本代表の姿、試合内容とも合わせて被災者の方々の力になってたらいいな!
たーじ
頑張れ日本代表!頑張れ熊本!
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