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目次
ラグビーの15人のポジションと役割を徹底解説
その原因ってなんやと思う?
俺も全部のルールわかってるかって言われると自信ないし。
まぁ、それは置いといて、ルールもあるけど、もうひとつ、ポジションが多すぎるっていうのもあると思うんよなぁ。
1チーム15人っていう人数が、そもそも他の競技に比べるとかなり多いもんなぁ。
しかも、他の競技みたいにみんな似たようなことするんじゃなくて、ポジションによって別の競技かってくらいプレーが変わるし!
ラグビーにおけるFWとBKの違いと役割
まず、大きく分けてラグビーのポジションは、背番号1〜8番の『FW』と9〜15番の『BK』の大きく二つに分かれます。
サッカーなどでは主に攻撃主体のプレーをする人のことをFW、守備主体のプレーをする人をBKと呼ぶことがありますが、ラグビーでは常に全員が攻撃にも守備にも参加するので、攻守の役割分担という意味合いで分かれている訳ではありません。
『FW』と『BK』のわかりやすい違いは、スクラムやラインアウトといったセットプレーに参加するかどうかです。
ミスや反則、ボールがラインの外に出た際などでプレーが切れた場合、スクラムやラインアウトといったセットプレーから試合を再開することになりますが、このセットプレーに参加しているのが『FW』、そして、セットプレーに参加せずにグラウンドに広く展開してアタックもしくはディフェンスに備えているのが『BK』です。
FW(フォワード)の役割は迫力満点のパワー勝負!

ラグビーのFWとは背番号1〜8の合計8人のプレイヤーのことを指し、スクラムを組んだり、体を激しくぶつけ合う密集でプレーをすることが多いことから、比較的大きな体格の選手が集まっています。
試合が動いている時には、主に密集の中でボールの争奪戦を繰り広げていますが、ときには大きい体格を武器に相手選手を吹き飛ばしてトライを取るなど、ラグビーの豪快さを体現したようなプレーで会場を沸かせてくれます!
FWは以下の3つのグループに分類されます。
- 背番号1~3番のスクラムを最前列で支えるフロントロー
- 背番号4、5番がスクラムの2列目でフロントローを支えるセカンドロー
- 背番号6~8番は最後尾でスクラムを支えるとともに、豊富な運動量でフィールドプレーでも活躍するバックロー(サードロー)
それぞれのグループごとに特徴や求められる役割が異なっています。
BK(バックス)の役割は華麗なポイントゲッター!

背番号8番までのFWの後を受けた、背番号9〜15をつけた7人のプレイヤーのことをBK(バックス)と呼びます。
FWがセットプレーやモール・ラックなどの密集において体を張って確保したボールを、グラウンド全体の広いスペースを使ってパスやキック、ランを駆使してトライに繋げることから、スキルが高く、スピードがある選手が集まっています。
BKの中にもグループ分けが存在します。
- 背番号9、10番は、パスやキックを中心に司令塔として試合をコントロールするハーフバックス
- 背番号11~14番は、オフェンス・ディフェンス両面で基点となるようなプレイが求められ、トライに絡むことの多いスリークォーターバックス
- 背番号15番を背負うのは、15人の最後尾で全体を見渡すフルバック
BKはこの3つのグループに分類されています。
FWの各ポジションの特徴、求められる役割とは?
上記で説明したようにFWとBKでは大きく役割が異なります。
スクラムの中心であるプロップとボールを味方に供給するスクラムハーフとでは、まるで別の競技をしているのかというくらいにプレー内容が違ってきます。
しかし、FWやBKの中でもポジションのグループ毎に求められる役割は大きく異なります。
それぞれのポジション毎の役割を知れば、観戦するのも何倍も楽しくなること請け合いです!
まずは恵まれた体格と強大なパワーで相手チームと真っ向からぶつかり合うFWについて、各ポジションごとの特徴や役割を見ていきましょう!
スクラムを支える屋台骨!フロントローとは?

スクラムの最前線を支える3人の選手はフロントローと呼ばれます。
スクラムでは相手のフロントローと組み合い、相手チームFW8人と味方チームFW8人の合わせて16人分の荷重が双肩にかかるハードなポジションです。
ですから、チームの中でも最も体格が良くパワーのある選手が務めます。
背番号はスクラムを組む時のポジションで決まっており、攻める方向に向かって左から1番、2番、3番となります。
ポジションではプロップ、フッカー、プロップという並びになりますが、同じプロップでも1番と3番では違いがありますので、詳しく見ていきましょう。
1番は左プロップまたはルースヘッドプロップ、と呼ばれ、ポジションの略称表記はPRで表します。
2番はフッカー。ポジションの略称表記はHOで表します。
3番は右プロップまたはタイトヘッドプロップ、と呼ばれ、ポジションの略称表記は1番と同じPRで表します。
それでは、フロントローの各ポジションの詳しい説明を見ていきましょう!
左プロップ(背番号1)の特徴と役割
背番号1を背負ってスクラムの最前列左に立つのは「支柱、支える人」という意味のプロップと呼ばれる選手。
左プロップである1番は特にルースヘッドプロップとも呼ばれます。
ルースとは「緩い」という意味の英語で、スクラムを組み合った時に相手の1番と2番に挟まれる3番に対して、1番の選手は右側の相手3番としか組み合わず、自分の左側が自由になるためにこう呼ばれています。
特徴はスクラムを支える強靭な肉体!
特徴は何と言っても強靭な肉体です。
相手チームと味方チームの合計16人の荷重がかかるプロップにおいて、そのパワーに耐えるための全身の筋肉、とりわけ首の筋肉の強さが必要とされます。
スクラムの強さはプロップの強さ、そしてプロップの強さは首の強さと言えるくらい重要で、スクラムの勝敗を大きく左右します。
体格を活かしたパワープレーが魅力!最近ではパススキルなども高い!
体型は、身長175〜185cm、体重100〜120kgが世界のトップ選手の平均サイズ。
求められる役割はセットプレーにおいても、ラックやモールなどの密集地帯における攻防においても、常に最前線での攻防に参加するプロップには肉体的な強さとともに体のぶつかり合いを恐れない精神的な強さも欠かせない能力。
また、現代ラグビーにおいてはバックスラインで攻撃参加を行うケースも多く見られ、パススキルなどの器用さも求められてきています。
フッカー(背番号2)の特徴と役割
背番号2番のフッカーはスクラムの最前列中央に位置し、ナンバーエイト、スクラムハーフ、スタンドオフ、フルバックと並んで「縦の線」と呼ばれるチームの背骨のような存在で非常に重要視されているポジションの1つ。
名前の由来はスクラムハーフから入れられたボールを足で引っ掛けて(HOOK)味方の側に送る「フッキング」というプレーから。
大きい体でも器用な職人芸!
特徴はプロップと同様にスクラムの最前列に位置することから強靭な肉体は必須。
それに加え、スクラムの中心で全体のコントロールを行い、マイボールスクラムではフッキングでボールを確保するという役割もあり、パワーとスキルの両方が求められるポジションです。
また特に決まりがある訳ではありませんが、器用な選手が多いこともあり、ラインアウトでラインの外からボールを投げ入れるスロワーの役目もフッカーの選手が引き受けることが多いです。
セットプレーのキーマンはフィールドプレーでも活躍!
体型的にはプロップと比べると比較的小柄ではあるものの、日本代表で日本人として初のスーパーラグビー(南半球スーパークラブリーグ)のプロ選手となったパナソニックワイルドナイツの堀江翔太選手は身長180cmと体重104kgと世界レベルのプロップの選手と肩を並べるほどのサイズがあります。
フッカーに求められる役割はスクラムをコントロールするスキルやラインアウトでのスローイングの精度といったセットプレーにおけるスキルの他、パワー・走力・パスなどのフィールドにおけるスキルも重要視されています。
更に、現代ラグビーではフッカーがバックスラインの中で攻撃に参加するケースが多く見られるようになり、バックスラインに参加するかどうかの状況判断力や、バックスに引けを取らない程のパススキルやランニングスキルなど、求められるスキルや役割が多様化してきています。
右プロップ(背番号3)の特徴と役割
背番号3の右プロップは、スクラムの最前列右側に位置し、スクラムを組んだ時に両側から挟まれることからタイトヘッドプロップとも呼ばれています。
両サイドを相手チームの1番と2番に挟まれているため、力が集中する逃げ場がないポジションで、1番よりもさらに大柄な選手が担当することが多いです。
チーム1の体格とパワー!
怪我を防止する目的でスクラムを組む前にプロップ同士で肩を掴む(バインドする)ようになってから衝撃は和らいではいますが、それでも大きな負荷のかかるポジションであることには違いなく、全身を強靭な筋肉が覆っています。
また、スクラムでは1番とともに両プロップの強さがスクラムの強さに直結するとともに、ラインアウトにおいてはジャンパー(ジャンプする人)を支えるリフターという役目があり、こちらもパワーが必要となります。
最近のプロップは「大きい!」「強い!」だけじゃない!
2015年の南アフリカ大会でスクラムを支えた畠山選手は身長178cm、体重113kgという体格でありながらも、運動量やボールを持った時のプレーにも目を見張るものがあります。
近年のラグビーの流れでは、プロップの選手にもパワー以外の能力が必要とされているのです。
空中の支配者!セカンドローとは?

セカンドローと呼ばれる背番号4番、5番の選手は、長身でなおかつパワーのある選手が多いです。
スクラムにおいては最前列のフロントローをそのパワーで後ろから支え、ラインアウトでは長身を活かしてジャンパーとしてボールを奪い合います。
また、キックオフでは相手選手との競り合いになる可能性の高い場所に位置して、高身長を活かしてボールを確実に確保することを求められます。
背番号はフロントローと同じくスクラムを組んだ時の位置で決まっており、左から4番5番となります。
プロップと違い、左右で大きく役割等が変わることはありませんが、呼び分ける場合は4番は左ロック、5番は右ロックと呼びます。
どちらも略称表記はLOと表されます。
それでは、空中を制するロックの解説をしていきます。
ロック(背番号4・5)の特徴と役割
ロックの名前の由来はスクラムをLOCKさせる(固定させる)という役割から取られています。
長身とパワーで空中戦を制圧!
その名の通り、フロントローの後ろからスクラムを固定させ、押し込むことを役目とし、また、相手チームからの圧力に足を突っ張って耐えることを「ロッキング」と言ったりします。
ロックの一番の見せ場は長身を活かした空中戦です。
ラインアウトやキックオフでジャンパーとして、空中に浮いたボールを相手と奪い合う空中戦がロックの見せ場です。
チームを勢い付ける体を張ったプレーに注目
また、長身であることから遠目に見るとスラッとして見えますが、近くで見るとその迫力に圧倒されます。
世界のトップ選手の体格は身長190~200cmで体重は110~120kgと、体重で見ればプロップとも大きくは変わりません。
その恵まれた体格を活かした突進で味方の道を切り開いたり、体を張ったタックルなどでチームを鼓舞します。
また、フロントローとセカンドローを合わせたタイトファイブのプレーヤーは、これまでスクラムに重点が置かれていました。
しかし、現代ラグビーにおいては、運動量やBKラインに参加したパス回しなど、セットプレー以外のタイトファイブの働きが試合を決定づける大きな要因となっています。
パワーと機動力を兼ね備えたインパクトプレイヤー!バックローとは?

スクラムの後方からいち早く飛び出し、攻撃ではサポート、守備では激しいタックルと、攻守の鍵を握るのがバックロー(サードローとも呼ばれます)。
体格的にはセカンドローよりも身長が低めで、特にタックルスキルや突破力が優れた選手が多く配置されています。
パワーとスピードが求められるポジションで、攻撃では密集でのボールの確保やBKラインへの参加、防御においては激しいタックルからのボール奪取など、攻守に多様な活躍が求められます。
スクラム左右後方につくのがフランカーで、背番号はスクラム左後方が6番、右後方が7番、略称表記はFLと表してます。
そして、スクラムの中央最後方のポジションがナンバーエイト。
その名の通り背番号8番を背負い、略称表記でもNO8と表されます。
フランカー(背番号6・7)の特徴と役割
フランカー(FLANKER)という語には「側に立つ」という意味もありますが、どちらかというと「側面部隊」を意味する軍隊用語から来ていると言われています。
ポジション表や実況中継の選手紹介などでは、6番が左のフランカー、7番が右のフランカーとなっています。
ただし、試合の中ではスクラムから見てスペースの広い側(オープンサイド)担当のオープンサイドフランカー、狭い側(ブラインドサイド)担当のブラインドサイドフランカーとする分け方が現在の主流となっていて、この場合は特に背番号は関係ありません。
ずば抜けた運動量でチームを支える仕事人!
どちらのフランカーにも共通して必要になるのが、何と言ってもその運動量!
攻守にその存在感を発揮するフランカーの運動量が落ちることはチームの負けに直結します。
スクラムがブレイクする(スクラムからボールが出る)と誰よりも早く離れ、アタック側のフランカーは味方のサポートに、ディフェンス側のフランカーはタックルを狙いに飛び出します。
この章頭にある写真は、スクラムから飛び出したフランカーがパスをしようとする相手のスクラムハーフに襲いかかるシーン。
スクラムハーフがわずかでもパスの判断を迷っていれば、容赦無くタックルを浴びせてボールを奪います。
80分間地味ながらもチームを支え続けるその姿はまさに『仕事人』です。
タックルだけでは終わらない!ボールを奪うビッグプレー『ジャッカル』!
また、フランカーは相手のナンバーエイトがスクラムからサイドアタックを仕掛けてきた時に、真っ先にタックルに入る役割を担っています。
ここで当たり負けしたり、抜かれてしまうとビッグゲインに繋がりピンチになるため、フランカーには高いタックルスキルが求められます。
体の大きなナンバーエイトに当たり負けしない体格も必要で、世界のトップ選手は身長175~180cm、体重100以上とロックと変わらないような体つきをしています。
また、激しいタックルをした後、相手からボールを奪うジャッカルと呼ばれるプレーに長けている選手も多く、Fetcher(ボールを奪う人)とも呼ばれています。
このようなタックルスキルに加え、80分の試合時間をフルに動き回れるスタミナはもちろんですが、次のプレーを先読みしてポイントになる場所に誰よりも早く駆けつける「先を読む力」、「状況判断能力」が必要とされる役割です。
ナンバーエイト(背番号8)の特徴と役割
FWの花形と呼ばれるナンバーエイト。
ポジション名の由来はもちろん背番号が8番であることから。
スクラムの最後尾に位置しており、アタック時にはスクラムサイドにサイドアタックを仕掛けて攻撃の起点となることも。
パワー自慢のFWのエースは怪物揃い!
ナンバーエイトはパワー自慢が揃うFWの中でも、ひときわ身体能力に秀でた選手が務めるFWのエース。
それだけに求められる能力やスキルも多岐にわたり、パワーとスピード両面におけるフィジカルと突破能力、バックスラインに参加してパス回しやサポートなどもこなせる状況判断能力や器用さも必要。
それらを高いレベルで兼ね備えたトップチームのナンバーエイトはまさに怪物揃い。
あいつならやってくれる!チームを支える精神的支柱!
世界のトップ選手の体格を見ると、身長190cm、体重110kg。
その巨大な体躯からは想像のできないスピードで敵陣を突破していく様子は圧巻の一言。
2015年のワールドカップ南アフリカ大会で日本の活躍を支えたアマナキ・レレィ・マフィ選手は、監督であるエディーから「ギフト」(天から与えられた才能)と言われるほどの恵まれた身体能力の持ち主。
恵まれた身体能力を活かし、体を張ったプレーでチームを鼓舞して勢いづかせる精神的な支柱としての役割も重要です。
苦しい状況でも「あいつなら何とかしてくれる」とチームメイトから信頼される選手ということもあり、キャプテンが多いポジションとしても知られています。
BKの各ポジションの特徴、求められる役割とは?
パワフルな突破力と試合の全体の流れを決めてしまうこともあるセットプレーを担うFWに対して、BKでは的確な状況判断とパスやキックといった華麗なスキル、そして敵を置き去りにする圧倒的なスピードによる得点力が求められます。
FWその突破力でディフェンスを巻き込んでいき、BKに数的有利ができたところでBKでパスを回してトライを狙うというのが、ラグビーにおける王道とも言えるセオリーです。
また、ラグビーでは相手ボールになったとしても相手陣地でプレーをする方が基本的には得策とされているため、キックで大きく陣地を取りに行くプレーも多く見られます。
そうしたキックが得意な選手も多く、相手BKとのキック合戦、トライ後のコンバージョンゴールやペナルティキックでの得点を狙います。
2015年ワールドカップ南アフリカ大会で日本の大金星に大きく貢献し、キックの前のルーティンが忍者ポーズと言われた五郎丸選手を見てもわかる通り、なかなかトライが取れない拮抗したゲームではキックでの得点の影響力は非常に大きなものとなります。
チームの司令塔!ハーフバックスとは?

主にFWを指揮する背番号9を背負うスクラムハーフとBKを指揮する背番号10のスタンドオフの2つのポジションのことを総称してハーフバックス、若しくは、ハーフ団と呼ばれています。
相手チームのディフェンスのスペースを見つけ、パス、キックを駆使してトライへと導く、チームの攻撃の舵取りを行うのがハーフバックスです。
スクラムハーフはSH、スタンドオフはSOと表記されます。
それでは、スクラムハーフとスタンドオフの詳しい説明を見ていきましょう!
スクラムハーフ(背番号9)の特徴と役割
スクラムハーフはスクラムにボールを投入し、出てきたボールをスタンドオフにパスする他、ラックやモールなどの密集地帯から出てきたボールを素早くFW若しくはBKにパスする、攻撃のリズムを作る「縦の線」と呼ばれるチームの背骨のような存在のポジションの1つ。
小柄なビッグマン!敏捷さと気の強さはピカイチ!
機動力やスピードとともに、地面にあるボールを拾ってパスをするため、小柄の選手が多いのが特徴です。
しかし、自分よりも大きなFWに指示を出してコントロールする必要があるため、自己主張が強く、勝ち気な性格な選手が多く集まっている傾向にあります。
体格に関しては、身長はトップ選手でも160cm後半〜と他のポジションに比べて小柄ですが、体重は70~80kg程度とかなり筋肉質であることがわかります。
運動量とパススキル、視野の広さが必須!
求められる役割は、BKへボールを供給するためのパススキルはもちろん、ほぼ全てのポイント(モールやラックのこと)に行くためのフィットネス、戦術によってはスクラムハーフからキックをすることもあるため、キックスキルも必要になります。
また、ポイント周辺におけるスペースを見つける視野の広さや、各選手の長所や得意プレーを把握した上で、戦略を組み立てるといったクレバーさも求められる役割と言えます。
日本代表で、スーパーラグビー(南半球スーパークラブリーグ)でプレーを経験したことのある田中史朗選手を筆頭に、日本人のSHのレベルは徐々に上がってきていると言えます。
スタンドオフ(背番号10)の特徴と役割
スタンドオフはスクラムハーフからボールを受け取った後、状況に応じて最も最適なプレーを選択する司令塔の役割を担う、「縦の線」と呼ばれる重要なポジションの1つ。
身体的な特徴は特段なく、トップチームの選手では身長175cm〜185cm程度、体重は80kg〜90kg程度の選手が多い。
味方の能力を最大限に引き出すパスが見所!
スタンドオフのゲームメイク次第でチームの勝敗が左右すると言っても過言ではなく、ラグビーの理解度が高く、戦略を具体化した上でチームメイトに的確に指示を出すことのできる、リーダーシップが必要な選手です。
チームで一番多くのポジションに対してバスを出すスタンドオフには、他のBKに比べより正確なパススキルが求められます。
味方選手のクセや特徴、強みを理解し、パスを受ける味方の能力を最大限引き出すようなパスを供給することも重要。
例えば、足が速く自らステップを切って相手を翻弄する選手に対しては、ディフェンスが近づく前に早めのパスを出す。
一方、スペースに走り込んで、相手選手とすれ違いざまに突破を図る選手に対しては、スタンドオフがギリギリまで相手を引きつけてからスペースに対してパスを出すといった具合です。
高いラグビーIQで試合を支配するゲームマスター!
求められる役割は多く、前述の通り、高いラグビー理解度を軸としたゲームメイクスキル、味方を活かすためのパススキル、エリアを確保するためのキックスキル、そして自ら仕掛けるランニングスキルなどがあります。
更に、スクラムハーフに次いでFWに近いポジションであるスタンドオフは、ディフェンスにおいてFWを相手にタックルするケースが多いため、大型の選手相手でも当たり負けせずに止められるタックルスキルも求められる。
瞬間的なスピードは他のBKほどは求められないのかな(たーじを見つつ)
でも、ハーフバックスにスピードがあれば、その分、攻撃の選択肢が増えるので重要じゃないわけではないですよ!
ラグビーの花形!スリークォーターバックスとは?

ハーフバックスがBKの司令塔なら、BKの実行部隊とも言えるのがスリークォーターバックス。
センターとウイング各2人ずつの合計4人の選手がこのグループになります。
センターの選手にはFWと見間違うほど大柄でパワフルな選手が多くプレーしています。
センターは、スペースがなければその大きな体を使ってこじ開け、スペースがあればスピードで相手を翻弄する、さらにエースであるウイングへのパスを放るなど、攻撃の起点からトライのアシストまで幅広いプレーをこなすオールラウンダーな選手です。
ウイングの選手はチームのエースと言われるポジションです。
最も足の速い選手が務め、BKラインの一番外側で機をうかがい、チャンスと見るや、持ち前の快速でトライを奪います。
ウイングの選手が綺麗な形でトライを取る形は、ラグビーの王道プレーと呼べるでしょう。
ディフェンスでは、相手がキックしたボールの処理も大切な役目。キックを蹴り返したり、自分がボールキャリアとなって駆け上がったりなど、状況判断能力も求められます。
センターは正式名称ではセンタースリクォーターバック(略式表記はCTB)、ウイングはウイングスリークォーターバック(略式表記はWTB)ですが、正式名称で呼ばれることはほぼなく、単純にセンター、ウイングと呼ばれます。
それではセンターとウイングの特徴と役割を見ていきましょう!
ウイング(背番号11・14)の特徴と役割
ウイングの名前は翼に由来し、バックスラインを翼に見立てた時に翼の先端に位置するポジションです。
ウイングは最も走るスピードやステップのスキルに秀でた選手が配置されます。
ウイングは戦場を駆け抜けるスピードスター!
ウイングが相手選手のタックルを振り切り、ライン際を風のように駆け抜ける様はまさにスピードスター。
他の選手はチームのエースであるウイングに良い形でボールを渡すことをひとつの目標にして体を張ります。
逆に言えば、味方が繋いでくれたボールをトライまで持っていかなくてはならない、責任の重いフィニッシャーの役割を担っているんですね。
日本代表では山田章仁選手やサンウルブズでも活躍している福岡堅樹選手など、決定力の高い選手が選出されています。
また、相手のウイングを止めるためのタックルスキルや、キックに対して的確に対応できるキック処理の能力も必要です。
また、一昔前までは、スマートでランニングに特化した選手も多くいましたが、最近ではウイングの選手の大型化が進んでいます。
誰もが認める世界一のNZ代表、オールブラックスのウイングを務めるジュリアン・サヴェアは、なんと身長192cm、体重108kgとロックの選手並みの体格。
ジュリアン選手のサイズは規格外ですが、近代ラグビーではウイングにも、多少の敵ディフェンスなら突破できるパワーや、タックルを受けても次の攻撃につなぐことのできるボールキープ力が求められています。
オープンサイドWTB、ブラインドサイドWTBの違いとは?
一般的にポジション表で右側のウイングが14番、左側のウイングが11番のユニフォームを着ます。
単純に左右で位置を固定しているチームもありますが、、スクラムやポイントを中心としてスペースが広い側(オープン)にいるウイングをオープンウイング、反対にスペースが狭いサイド(ブラインド)にいるウイングをブラインドウイングと呼び、スクラム等の位置によってポジションを入れ替えるチームもあります。
オープンサイドのウイングは、まさにチームのエースとも言えるポジション。
バックスラインの端で味方からのパスを待ち、スピードを活かして相手を振り切りトライを取りきるプレーが求められます。
一方、ブラインドサイドのウイングは、攻撃においては奇襲担当。
敵のディフェンスが多くスペースが少ない場所を、ディフェンスが乱れた一瞬を狙いすまして切り裂いたり、エキストラマンとしてバックスラインに参加することで、意外性のあるプレーを担当します。
両ウイングで違った動きをする場面がありますが、味方が体を張って繋いだボールを最後にスピードやステップでトライに繋げる役目は同じ。
一番華やかなスター的なポジションですが、決定力の有無がチームの勝敗を分けるため、その責任は重大です
インサイドセンター(背番号12)の特徴と役割
2人いるセンターのうち、インサイドセンターはバックスラインにおいてスタンドオフの隣、スクラムやポイントに近い方(内側)に位置するため、こう呼ばれています。
スピード、強さ、パススキルが求められるオールラウンダー!
センターはスペースがない場面で相手選手とのコンタクトプレーが多くなります。
そのため、BKの他の選手に比べて、当たり負けしない大型の選手が多い傾向にあります。
インサイドセンターの体格は世界のトップ選手で身長175~185cm、体重は90~100kgほど。
スピードに乗ったセンターの突進や、相手選手がボールを持った瞬間に飛び込む激しいタックルは迫力満点。
しかし、体格や当たりの強さだけでなく、スタンドオフと同様に正確なパススキルや冷静な判断力も求められています。
状況判断とパスワーク!インサイドセンターは第2のスタンドオフ!
ラグビーの試合中、ポイント周辺に相手選手が多く、離れた場所に攻め込みたいが、スタンドオフからのパスでは届かないといったケースがしばしば起こります。
そんな時は、第2のスタンドオフでもあるインサイドセンターの出番。
スタンドオフからボールをもらったインサイドセンターが、さらに大きなパスで外で待つアウトサイドセンターやウイングにボールを届けます。
またインサイドセンターにスタンドオフ並みのパススキルと状況判断力があれば、ダブルスタンドオフ体制にしたり、スタンドオフがポイントに入っている状況でもサインプレーを行ったりと多彩な攻撃が展開できるようになります。
日本代表で言えば、立川理道(たてかわはるみち)選手のようにスタンドオフでもプレーができ、体格も大きく当たり負けしない選手がインサイドセンターの理想的な選手であると言えます。
アウトサイドセンター(背番号13)の特徴と役割
一方のアウトサイドセンターはインサイドセンターの外側に位置し、インサイドセンターよりもさらにコンタクトプレーが多くなるポジションです。
コンタクトの強さとスピードを兼ね備える切込隊長!
Bkではサインプレーも含めて、攻撃の起点となることの多いセンター。
アウトサイドセンターは、持ち前の強さとスピードで相手ディフェンスを切り崩す役割があります。
アタック面ではしっかりとボールをキープし、確実にマイボールを継続できるコンタクトの強さ、チャンスと見れば自分が抜け出してトライを取りきる決定力が必要です。
また、ディフェンスでは広いスペースをカバーできるスピードや味方の状況把握も含めた判断力が重要なスキルとなります。
相手のディフェンスラインを崩せるかどうかは、アウトサイドセンターのプレーにかかっていると言ってもよく、BKの切り込み隊長のような存在です。
トップリーグや大学選手権などを見ると、FW顔負けの体格の外国人選手が務めていることが多く、強靭なフィジカル能力が必要であることがわかります。
いやー、しかし、ウィングが相手を置き去りに走り抜けるのは本当にカッコいいよなぁ。
フルバック(背番号15)の特徴と役割とは?

フルバックは常に最後尾に位置し、最後方からグラウンド全体を見渡して、他の14人が気付かないスペースなどを見つけ、常に大きな声で後ろからチームに指示を送っています。サッカーで言えばゴールキーパーのような存在ですね。
略称表記はFBです。
フルバックはゴールラインを守る最後の砦!
フルバックは攻撃時にはエキストラマンとして攻撃に参加することで、攻撃のバリエーションが増え、相手チームを翻弄します。
アタック時の特に決まったポジションがないことから、サインプレー等によって位置が大きく変わるため、相手も狙いを絞りにくくなるんですね。
ディフェンスの際には、大きく後ろに下がり、ウイングの選手と連携を取りながら相手のキックを警戒します。
フルバックのキック処理が甘いと相手はどんどんキックを蹴って陣地を取ろうとしてくるため、チーム1のキック処理能力が必要です。
また、フルバックはキックを受けて蹴り返すことも主な仕事であり、フルバックのキック力がゲーム全体の流れにも関わってくるため、キックスキルは必須。
ただし、自陣ゴール前など、相手からのキックの可能性が低い場合は、自らもディフェンスラインの1人として参加します。
広いフィールドを1人で守るためのスピードはもちろんですが、ポジショニングも非常に重要。
ゲームの流れを読む力が不可欠なポジションと言えるでしょう。
日本代表で言えば五郎丸 歩選手が有名ですが、体格的には少し劣るものの、スピードがあってディフェンスも良く、キックもできる松島 幸太朗選手も、今後、注目の選手の一人です。
試合中にはお互いのフルバック同士でキック合戦になることもあるので、どちらのキック力が強いかを注目して見るのも面白いですよ。
15人の選手がポジション毎の役割を果たすことによってチームは勝利できる
以上が15人のポジションの役割の説明です!
目立つプレーをしてトライをした選手の影には、その他の選手の見えない素晴らしいプレーがあったからこそのトライ、ということを少しでもわかっていただければ幸いです。
ラグビーの精神として「One For All, All For One」という言葉があります。
これは「1人はみんなのために、みんなは1人のために」という意味で、まさにラグビーを表現した言葉と言えます。
この「One For All, All For One」を体現している選手達のプレーを肌で実感するために、ぜひ試合会場に足を運んでみてくださいね!